お問い合わせの多い腹腔内投与について

パクリタキセル腹腔内投与に関するお問い合わせをよくいただきますので、現状をお伝えします。

パクリタキセル腹腔内投与は、現在、先進医療Bの区分です。
(先進医療Bとは未承認医薬品または医療機器等を保険適用の対象にするかどうかを検討するため、その有効性、安全性を臨床研究により評価する段階です)

2016年9月、患者申し出療養制度の第一号として認められ、約100名の方が、この制度を使って腹腔内投与を受けました。
治療に苦慮するスキルス胃がん患者家族の方が、腹腔内投与の情報に辿り着くことは多く、日本胃癌学会と希望の会が連名で、今年、『医療上の必要性の高い未承認薬、適応外薬検討会議』での審議をお願いしました。

2018年7月4日に開催された『第35回医療上の必要性の高い未承認薬、適応外薬検討会議』で審議されましたが、パクリタキセルの腹腔内投与が静脈内投与より有用であるという根拠が不十分として承認には至りませんでした。
議事録はこちら
 
治療に苦慮するスキルス胃がんは、選択肢が増えることを願っています。

ここ数年で、オキサリプラチン(エルプラット)、nab‐パクリタキセル(アブラキサン)、カペシタビン(ゼローダ)といった化学療法、トラスツズマブ(ハーセプチン)やラムシルマブ(サイラムザ)といった分子標的薬、ニボルマブ(オプジーボ)といった免疫チェックポイント阻害薬など数多くの薬剤が使用できるようになりました。
今年8月には新たな化学療法であるトリフルリジン・チピラシル(ロンサーフ)が承認申請されています。

標準治療は、臨床試験を通じて、有効性、安全性が認められた、現在の最良の治療です。
先進医療は、有効性、安全性を保険適応にするか検討している段階です。
現時点では、腹腔内投与が上記の治療より有効であるとは言えない段階であることをお伝えしたいと思います。

不明な点は、どうぞご遠慮なく、希望の会にお問い合わせください。
希望の会は月1回、胃がんのセミナーを開催しています。
その中でも、質問にお答えしていきます。

10月は大阪で
胃がん治療最前線

11月は22日に
オンコロ主催 希望の会共催 【胃がん】

さらに11月23日にはスキルス胃がんに特化したセミナーを開催します。
こちらは
info@npokibounokai.orgにお問い合わせください。