オプジーボについて

  胃がん患者家族のみなさまへ
 ~免疫チェックポイント阻害剤について~

京都大学、本庶佑名誉教授のノーベル生理学・医学賞受賞。
『がんを知り、がんを制す』の信念の元での粘り強い研究の日々が、がん治療への新たな道へと繋がっていくことに大きな喜びを感じております。

 がん細胞の表面に現れるたんぱく質PDL-1(Programmed cell ligand death-1)が、
免疫細胞の表面のたんぱく質PD-1(programmed cell death-1)と結合することにより、
がん細胞が免疫細胞から攻撃されないようにブレーキをかけてしまいます。
この仕組みが『免疫チェックポイント』です。

免疫チェックポイント阻害剤は、その結合を『阻害』することによって、免疫細胞ががん細胞を攻撃するようにするお薬です。
『ニボルマブ(商品名オプジーボ)』『ペンブロリズマブ(商品名キートルーダ)』 があり、その他、いくつかの薬が治験で効果、安全性を確かめています。

日本は国民皆保険の国であり、効果、安全性が確認されたものは、保険適応として承認され、私た ちが全額自己負担をすることはありません。 つまり、保険適応ではなく、自己負担をしている治療は、『効果、安全性が認められる段階にない』 治療であるということです。

胃がんでは、『ニボルマブ(商品名オプジーボ)』が昨年秋に、保険適応になりました。
『ペンブロリズ マブ(商品名キートルーダ)は、適応承認になっていませんから、現在は、治験で効果と安全性を調 べている段階です。

ニボルマブ(商品名オプジーボ)使用の対象は【切除不能な進行、再発の胃がん】です。

治療は、治験により、効果、安全性が高いものから第一次化学療法、第二次化学療法、第三次化学療法と決められています。ニボルマブ(商品名オプジーボ)は、この中の第三次化学療法です。
それは、現時点で、ニボルマブ(商品名オプジーボ)より効果も安全性も高いと認められているものがあるということを示しています。

さらに、この化学療法は、HER2(ハーツ―)という遺伝子を調べ、陽性の場合と陰性の場合で分か れています。 このことを理解すると「うちならオプジーボができますよ」という言葉が、いかに信頼できないことであるかがおわかりいただけるかと思います。

オプジーボ(商品名ニボルマブ)は、今までのがん細胞を攻撃する抗がん剤とは働きが違いますので、投与に伴う副作用(有害事象)は、脱毛、嘔吐などとは、種類の違う疾病が一部の方に表れているという報告がされています。
間質性肺炎、甲状腺機能障害、劇症糖尿病など、命に係わることもあり、その点からも厚生労働省から、投与できる施設の基準が設けられているのです。その点からも、使用が認められていない施設で、ニボルマブ(商品名オプジーボ)を投与すること、さらに、『免疫療法』という名で提供されている施術が、いかに危ういものかがご理解していただけると思います。

現在、効果、安全性が認められている『免疫』に作用する治療は、この『免疫チェックポイント阻害剤』のみです。他の『免疫療法』といわれているものは、効果も安産性も定かではなく、「研究段階」であり、さらに「研究」であれば、治験という形で患者は参加するので、費用負担はありません。全額自費を要求されるものに関しての不確かさに関しては、この機に、ぜひ、理解していただきたいと思っています。

希望の会では、毎月の胃がんセミナーを通じて、みなさまに『知る』機会を届けていきたいと思っています。
そして、何より、ご自身の主治医とよく話をしてください。

「「うちならオプジーボができますよ」という機関が必ず言う言葉があります。
【主治医には内緒です。止められてしまいますから】

 「知ることは力になる」
 現実をしっかり知った先には、幻ではなく本当の選択肢が見えてくると思っています。